内装コラム

整骨院のベッド台数は何台置けばいいのか?

前回の「整骨院のテナント選び」に大きく関連する、ベッド台数についてのお話です。テナントを選ぶ際にベッド台数が重要なことは前回お話した通りですが、ではどのようにしてベッド台数を決めればよいのでしょうか。よく、「5台~6台置きたいのですがスペース的に厳しいですか?」といったご質問を整骨院の先生方から伺います。一般的に整骨院で使用されている施術ベッド(手すり無しタイプ)は、幅が600㎜~700㎜程度、長さが1,800㎜前後が多いです。そこで考えたい点が、「どのような施術を行うか」ということです。ベッドの左にも右にも立って施術をするのか、足元に周って施術をするのか、つまり施術ベッドに対して上、下、右、左のどこに立って施術をするかという点です。中には、足元側には立たない先生もいれば、足元でアロマやオイルをするので足元のスペースも欲しいという先生もいらっしゃいます。患者様に上下さかさまに寝て頂いて足首の捻挫の包帯やテーピングをする先生もいらっしゃいます。マッサージは片側だけですべて行う先生もいらっしゃるので、やはり「どのような施術を行うか」が重要となります。

平均的な施術スペース

カーテンレールにカーテンを付けた施術スペースを想定すると、幅650㎜のベッドに対して施術スペース1,500㎜程度あると左右どちらに立っても施術が可能です。1,500㎜-650㎜は850㎜ですので、片側425㎜余裕がある計算となります。縦幅は1,800㎜のベッドですと、2,100㎜は欲しいところです。不動の壁では難しいですが、カーテンですと動くことが出来ます。足元の施術を考えると2,500㎜程スペースがあれば良いでしょう。

実際に立ってみないと間隔がつかめないので不安という先生もおられますので、工事を始める前に地面に設計図を描きます。これは大工さんや設計士が行ういわゆる「墨出し(すみだし)」といったものです。動きながら間隔がつかめるので、実際の仕上がりと違うといったことは起こりません。

テナントのベッドを横並びに置くパターンは長方形型のテナントで多く(横幅がない為)、ベッド同士が向き合うパターンは正方形型のテナントで採用することがあります。(横幅が広い為)注意したい点は、空きテナントの状態よりも仕上がった状態のテナントの方が壁厚が出来る為狭くなるということです。壁厚は木下地でも、軽量鉄骨でも一般的に45㎜×40㎜の下地にボード(9.5㎜)を表裏に貼る為、640㎜(=6,4㎝)の壁厚になります。もっと太い壁厚にすることもありますが、そこはスペースの問題とデザイン性の問題となるのでテナントによりけりです。使用するボードを9.5㎜ではなく12.5㎜にすることもありますし、下地を45㎜ではなく60㎜にすることもあります。強度が増すのと分厚い方が見た目の重厚感が増します。余談ですが、壁掛けテレビを設置したり、掲示物が多かったり額縁やフレーム付きのポスターを張りたい場合は壁の中に下地を入れます。下地はベニヤを入れたりコンパネを入れたりします。

 

ベッド台数の考え方

ここからは数字のお話になりますが、ベッドを置く台数は目標値から逆算すると考えやすくなります。なんとなく、「治療師2人で運営するから1人2台で4台は欲しいな」という考え方もできますが、ここは計算をしてみましょう。必要な項目を上げます。

①営業時間

②施術時間

③1人単価

④稼働率

 

となります。

まず①営業時間ですが、1日の営業時間を8時間と仮定します。次に②施術時間(ベッド滞在時間)を1人当たり30分と仮定しましょう。1人単価は3,000円としてみます。

数字はご自身の院の営業時間、施術時間、1人単価を想定してみてください。

1人当たり30分間ベッドに滞在すると、(手技10分、マッサージ10分、電療10分)そのベッドでは1時間に2名まで見ることが出来ます。単価は3,000円ですので、それを営業時間の8時間で計算すると、2名×8時間×3,000円で48,000円の売上となります。営業日数を月に25日とすると、48,000円×25日で1,200,000円の売上となります。ここまでは単純計算で、もちろん、1人単価は施術内容によって料金は異なりますし、メニューによって施術時間は異なりますが「平均」は必ずありますので自院の平均を想定して計算します。

ベッド1台あたり120万円の売上とすると、ベッド2台で240万円、3台で360万円、4台で480万円の売上となります。しかしこの計算では稼働率が100%の計算ですので、実際には不可能に近いといえます。

1ヶ月間予約が100%埋まっている状態ですので中々難しいでしょう。では、どのように想定するかというと、予約がどのくらい埋めることが出来るかを考えます。

上記の数字ではベッド4台が100%稼働して480万円の売上でしたので、仮に70%の稼働率と予想すると480万円×0.7(70%)=336万円の売上となります。50%稼働ですと240万円となります。では、ベッド4台で70%稼働を目指すには、何人の施術者が必要でしょうか。

最大値は480万円の売上ですので、月売上4,800,000円÷1人単価3,000円=1600人の来院となり、稼働率70%ですと1600人×0.7で1120人の来院となります。営業日数25日ですと1日あたりの来院数は44.8人ですので、施術者2名ですと1人22.4人の施術、3名ですと1人あたり14.9人の施術となります。実際には、夕方が混む、朝は予約が空くなど時間帯によりばらつきが生じますのでどの時間帯も予約を埋めていく工夫や時間帯別の集客が必要となります。1ベッドあたりは16人が最大ですので、ベッド台数は2台で38人、3台で54人まで稼働が可能です。段々とベッド台数の見込みがついてきましたでしょうか。

実際の施術では、1台で電療をしている間にもう1台でマッサージをするなどということが多いので、1人あたり2台以上はベッド台数が欲しいところです。

ここで逆算すると、まず初めに

1、月の売上目標を立て、次に

2、1人単価を決めます。そして

3、施術時間を想定し、

4、営業日数と営業時間を決めれば

ベッド台数と治療師の人数が想定できます。

 

売上が増えてきた、お客さんが増えた、となり、スタッフを雇用しようと思ったときにベッドが足りなくなってしまい患者様を待たせてしまう、予約が取れないということが出てしまうとそのテナントの最大値が決定してしまいます。天井が見えてしまうので、次は出店か・・となりますが、コストも2倍となりますので出店は安易には出来ないでしょう。1院の売上を最大化することができるに越したことはありませんので、その後に出店となります。ベッド台数を想定する際のご参考までにお役立ちできると幸いです。

 

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