内装コラム

整骨院のテナント選び

整骨院のテナント選びで重要なこととは?

整骨院を開業する際に「内装工事」を考えますが、まずはどこで開業しよう!と、テナント選びが気になりますよね。テナントの契約が進み融資の相談や借入の話も並行して進んでいきます。

整骨院の内装では、必ず採用しなくてはならないことや、注意したいことがありますのでテナント自体の「大きさ」が重要になります。

これから整骨院を開業する、これから内装工事業者に依頼する、テナント探しをする方へ是非ご一読頂きたく思います。開業までの不安が少しでも減りましたら幸いでございます。

 

まず整骨院のテナントを選ぶ上で

初めはテナント選びから始まりますが、「どこに開業しよう?」という場所選びから始まることと思います。現在勤めている場所の近くなのか、地元なのか、人の多い駅か、ロードサイドか・・。

その際に、インターネットで不動産会社やスマホアプリでテナント探しをすることが多いでしょう。そのときに、「何坪必要か、何㎡必要か?」ということをお考えになるかと思います。坪数によってレイアウトが大きく変わることと、なによりも「ベッド台数」に差が出ますので注意が必要です。

テナント選びの重要点

テナント選びは、複数の駅から探すのがお勧めです。一つの駅や地域に絞るとなかなか良いテナントは直ぐに見つかりません。なぜかというと、良いテナントは直ぐに借り手が見つかるからです。ベッド1台の整骨院様ですと7坪程度は最低でも必要でしょう。6台、8台・・とベッド台数を増やしていくと30坪以上欲しいという先生もいらっしゃいます。テナント探しは整骨院に限らず、ライバルとなる業種としてクリーニング屋さん、飲食店、コンビニ、学習塾、保育園、理髪店、オフィス、美容院など、同じくらいの大きさで探している業種が沢山あります。個人で初めて開業される先生は特に伝手がなかったりすることが多く、大型チェーン店の物件を探す力にはなかなか勝てません。不動産屋さんに事前に「この地域でこの坪数のテナントが見つかったら連絡をください。」と、連携を取っている会社さんも多いことでしょう。ですので視野を広げ、いくつかの候補地で探す必要があります。何カ月もテナントが見つからないという先生にも沢山お会いしてきました。インターネットや不動産会社さんで情報を得つつ、自身の足で実際に街を歩いて探すことをお勧めします。「この時間帯は人の流れが少ないな」「信号があるからこの交差点は看板が目立つかな」「意外と整体や整骨院が沢山あるな」「自転車が多いので駐輪場が欲しいな」「駐車場に空きがあるから連絡してみよう!」など、歩いてみないと分からないことが沢山あります。ですので必ず街を歩くことをお勧め致します。実際の立地だけでなく、「インターネット上の立地」を調べることも重要です。

例えば、自身の開業する整骨院の売りの施術が「X脚・O脚矯正」だったとします。そのときに、「地域名+O脚矯正」とGoogleやGoogleマップ、Yahoo!などで検索した際に近隣に沢山の整骨院が出てくるのか、それとも出てこないのか、といったインターネット上の立地調査をすると競合がはっきりし、戦略が見えてきます。実際の立地とインターネット上の立地はどちらも調べてみると良いでしょう。

もう一つは、実際に近隣の整骨院さんのホームページを検索します。口コミを見たり、治療内容を見たり、自院のブランディングをする上でとても重要な要素です。お客さんとして実際に施術を受けに行く先生もいらっしゃいます。また、挨拶を兼ねて粗品を持って近隣の院様へ行く先生もおられます。

住んでいる方々の年齢や人口など、「人口動態調査」をすることも必要です。弊社では日本全国の人口動態調査が出来ますのでお声を頂くことも増えました。年齢、人口、男女比、職業(第一次~第三次)、整骨院の数、整形外科の数、世帯年収平均、等々人口動態調査で分かることが沢山あります。テナント契約前に必ずチェックしたいところです。

 

整骨院の坪数について

坪数を決めるうえで、大まかな目安をご紹介致します。

・1坪=3.3㎡=2畳となりますので、

7坪=23.1㎡=14畳となります。保健所の基準で柔道整復のスペースは最低6.6㎡必要で、待合室は3.3㎡なければなりません。足すと9.9㎡(訳10㎡)ですが、お手洗い、洗面手洗い、通路、受付カウンター、など最低限のものが必要だと考えると7坪程度は欲しいところです。7坪ですとベッドは1台が限界でしょう。

最もポピュラーな大きさが、12坪~20坪程度となり、ベッドが5台~7台程度置いている整骨院さんが多いです。

【7坪程度の広さの整骨院レイアウト例】

7坪の整骨院

【14坪程度の整骨院のレイアウト例】

14坪の整骨院

【22坪程度の整骨院のレイアウト例】

22坪の整骨院

これらは例ですが、実際にテナント選びの際に自身で必ず設置したいものを上げるとレイアウトがし易くなります。

1、施術室6.6㎡以上(必ず必要な保健所基準)

2、待合室3.3㎡以上(必ず必要な保健所基準)

3、換気可能な窓または換気扇(天井や壁に設置可、必ず必要な保健所基準)

4、お手洗い

5、洗面所

6、個室

7、バックヤード・休憩室

8、洗濯機置き場・キッチン

9、医療機器の設置場所(置く機器を想定)

10、受付カウンター

11、カルテ棚

12、更衣室

13、想定する施術ベッド台数

 

など、保健所基準を満たした上で自身の整骨院で配置したいものを考えましょう。鍼灸院を併設する場合は、専用の施術室が必要ですので鍼灸室として6.6㎡以上必要になります。

ですので、柔整、鍼灸併設の場合は別々に部屋(又はカーテンで仕切る)を設ける必要があります。

保健所基準に達していないと、工事後に解体しなければならないとうことがありますので、施工業者か自分自身が開業地の管轄の保健所へ行き事前相談をお勧め致します。また、開業後に開設届を10日以内に保健所へ出す際に図面が必要になりますが、こちらは内装工事を受け持った会社で作成してくれることでしょう。柔整室と鍼灸室、待合室は部屋として不動の壁で仕切られていることが望ましいですが、管轄の保健所によって若干の差があることがあります。カーテンの仕切りでよいことや、パーテーションが必要なこともありますので確認が大切です。

 

レイアウトの注意点

先ほどのレイアウト図面を見て頂いたように、そもそもテナントの形が同じものはありません。長方形だったり、正方形だったり、台形だったり、いびつだったりします。それに加えて電気、ガス、水道のライフライン系はあらかじめ場所が決まっております。窓もついているでしょうし、入口も基本的には1つか2つ。ここで重要なことは、ライフライン系は大きく動かさないことをお勧め致します。大きく動かすと、経費がかかります。例えば、水回りは給水配水が予め場所が決まっている為、トイレが1番奥にある場合、1番入り口側に置きたいとレイアウトをすると給排水を新設しなければなりません。それに伴い、トイレは換気扇や窓がなければ匂いがこもってしまうので角や壁際に付けることがポピュラーです。給排水を設置するとなると、地面自体を削るか、置床をして床下を配管する必要があります。水が流れる為には勾配(坂)がなければなりませんので床は高めに置く必要があります。このように、想定しているレイアウト次第で大きく工事金額が変わりますので注意が必要です。

 

テナントの状態の注意点

テナントを選ぶ際に1番コストがかかるものが、スケルトン状態や解体が必要にテナントです。スケルトン状態では、壁もなく、天井もなく、もちろんエアコンもない為改めて壁を作り天井を吊り、エアコンを入れ、給排水を作るところから始める為坪単価は高くなります。解体が必要なケースでは飲食店の跡地だったり、残置物がある場合は全て壊して捨てなければなりません。その場合は解体費用と撤去費用、運搬、産廃料金が発生します。コストを抑える為には「あるものを活用する」ことでコストダウンすることが出来ます。

例えば、壁があるので壁紙だけ張替えよう!天井があるのでエアコンだけ交換、またはクリーニングして使おう、照明があるので電球だけLEDにしようなどです。間仕切り壁がある場合はそこをバックヤードの一部にしたり、個室の一部にしたり活用することが出来ます。工事自体を少なく抑えることで大幅にコストを抑えることが可能です。それらを考慮してテナントを選ぶと良いでしょう。もちろん、スケルトン状態の物件のメリットもあります。それはレイアウトの自由度が高いことと、コストはかかりますが全て新品の材料のみなのでとても綺麗に仕上がることです。どうしても今まであったものを使用する場合は、20年以上前の壁だったり、30年以上前の天井だったりと経年劣化があります。表面の壁紙や床材だけ変えても、新品の仕上がりにはかないません。すべてにおいて経年劣化がなく強度が高いこともスケルトン物件の良いところですね。

 

坪単価について

整骨院の工事で1坪あたり15万円~30万円とよく聞きますが、実際にはもっと大きく差が出ます。それはテナント状態にもよることは先ほど述べましたが、坪数によっても相場が大きく変わります。

例えば、6坪の整骨院をスケルトン状態で工事したときと、10坪の整骨院をスケルトン状態で工事したときでは、もちろん10坪の整骨院を工事したときの相場は上がります。ですが、これらのスケルトン状態の場合はエアコンを1台つけても価格は同じ。電気工事を新設しても価格はほとんど変わりません。(照明の数は変わりますが配線工事はほぼ同じ内容)となります。

ですので、坪数が小さい整骨院ほど1坪あたりの単価自体は高まる傾向にあります。また、近年では消費税が10%に上がり、ウッドショック(2021年)により木材の材料費が上がっています。電気照明機器関係も年々商品代が上昇しています。数年前とは材料費自体が値上がりしてしまっていることが顕著です。

10坪のテナントなので10×15万円で150万円と、単純計算できないことに要注意です。特に坪単価が高騰する物はずばり「エアコン」です。家庭用にするか、業務用にするか、または天井埋め込みにするか、エアコンだけに限らず材料は安かろう悪かろうが顕著で、良い商品ほどコストパフォーマンスが良く、保障が付いたり壊れにくかったり月々の電気代が安かったりします。馬力が高いエアコンほど余力を持って部屋を冷やす、温めることができ、馬力が低いエアコンほど頑張って部屋を冷やす、温めるので燃費効率が悪くなります。長い目で整骨院を運営していくのであれば電気製品も重要となります。

エアコン、トイレは劣化すると患者様の居心地にも大きく影響しますので取り換える方が多いです。

 

また、工事期間中は家賃免除などのフリーレント付き、管理会社さんやオーナーさんとの交渉次第ではエアコン取替OK、解体まで行ってくれる、トイレを交換してくれる、等々お話をしてみることで初期費用がぐっと安くなることがあります。整骨院業は夜に音が鳴ることもなく、ガスを使わず、BGMが大きいわけでもなく、オーナーさんからしても長く入ってもらえるのであれば嬉しいこともあります。実際に交渉次第で家賃を下げられたり初期費用を下げてもらったりといったことは沢山ありますので交渉してみると良いでしょう。

 

 

まとめ

テナント選びで重要なことをまとめます。

①候補地域を広げて情報を増やす・実際に歩いて探す

②人口動態調査を行う・競合調査をする・インターネット上の立地を見る

③ベッド台数・部屋の配置、置く機材を決める

④テナントの状態を知る

⑤初期費用を下げる交渉をする

 

となります。開業時に悩むことが沢山ありますが、資金繰りとして「投資」なのか、「浪費」なのか、はたまた「譲れないこだわり」なのかを考え、長い目で見て患者様に有意義であるか、一緒に働く可能性のあるスタッフたちに有意義であるのか、居心地が良いのかを考えてテナントを探すと良いでしょう。患者様とスタッフさんを大切にすることが最も大切ですのでテナントもみんなに愛される店舗になると嬉しいですね!

 

 

 

 

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