集客コラム

整骨院の離反率と離反数

整骨院や治療院運営でよく耳にする「離反率」「離反数」

似ている2つの言葉ですが、数値の求め方があります。集客をする上で理解すべき離反率と離反数をご説明致します。「毎月10名は新規の患者様に来てほしい!」「毎月50名以上の新規の患者様に来てほしい!」と、整骨院によって月に来てほしい新規数は異なります。それには、「治療師の数」「ベッド台数」「一人当たりの治療時間」と「滞在時間」があり、更には「1人単価」も異なる為、求める新規数には大小差が生じます。

整骨院の離反率とは

「離反率」を毎月計測してる院も多いことでしょう。求め方としては、(「先月カルテ枚数」+「今月新規数」-「今月カルテ枚数」)÷「今月カルテ枚数」×100となります。
仮に、A整骨院の先月カルテ枚数が100枚、今月新規数が30枚、今月カルテ枚数が120枚であった場合、
(100枚+30枚-120枚)÷120枚×100=8.33となり、四捨五入すると8.3%となります。一般的に整骨院の離反率は15%以下が一つの目安となりますので、8.3%の場合は良好な数値となるでしょう。

仮にこの数字で今月カルテ枚数が100枚であった場合、
(100枚+30枚-100枚)÷100枚×100=30となり、離反率は30%となります。

離反率が高い場合は、患者様が離れていることが多いといえるでしょう。これではカルテ枚数が増えません。「カルテが増えない=新規数が足りない=新規数を増やさなくてはならない」という式は成り立たないことになります。

 

整骨院の離反数とは

「離反数」とは、離反率とは異なり、「先月から今月にかけて何枚のカルテが離れたか」を見る際に必要な値となります。求め方としては「先月カルテ枚数」-「今月カルテ枚数-今月新規数」となります。
仮に、A整骨院の先月カルテ枚数が100枚、今月カルテ枚数120枚、今月新規数が30枚とします。実際にカルテ枚数は先月から今月にかけて20枚増加となりますが、今月は新規数が30枚ある為、先月から今月にかけて離反した患者様は10名いることになります。こちらが「離反数」(=離反した人数)となります。このA整骨院の場合、10名の離反に対して30名の新規が来ているのでカルテ枚数が増えていく計算になります。

自院の離反率は何%か?
毎月離反数を出していると、毎月数値が異なることに気づきます。では、1年間の平均ではどうでしょうか。目安としては3カ月、6カ月、12カ月で見ることをお勧めしております。3カ月よりも6カ月、6カ月よりも12カ月の方が数値の信頼度が高まります。まず、自院の離反率を知ることから始め、目指すべき月の新規数を出すと良いでしょう。新規開業の場合はまず第一段階として15%以下を目指すと良いでしょう。

院の離反率を下げるには
離反率を下げるには「原因分析」が必要です。患者様を担当制にしている場合と、最後に担当したスタッフの患者様が来ていない場合は、個別で離反率を出すことでより正確な数値が分かります。スタッフ別で保有カルテを毎月計算すると、スタッフ別の離反率が分かります。B整骨院の離反率が20%であり、スタッフが5名いた場合、離反率が20%以下のスタッフと20%以上のスタッフがいることに気が付きます。あくまでも整骨院の離脱率は「全スタッフの平均」となるからです。

ここで重要なポイントを3つご紹介します。

①離反率の計測期間

1か月間のデータで、離反率が高い、低いというデータが出たとして、1ヶ月間の離反率が高いことで院長に叱られてはスタッフのやる気がなくなってしまいます。重要なことは「中身」です。中身を知ると多くの事が見えてきます。「ぎっくり腰が完全に良くなり、喜んで卒業しました。」というカルテ1枚と、「この先生は嫌だな、もう来るのはやめよう。」という1枚でも数字としては同じ「1枚のカルテ」です。喜ばれて卒業されたのか、そうでないのかが重要となります。1ヶ月間のデータでは信憑性が低く、判断しにくいでしょう。

②新規に入っている人数

新規の患者様に15名入ったスタッフと、新規に1名入ったスタッフではカルテ枚数に差が生まれるのは想像がつきます。また、新規の患者様は症状が出て来院されている為、「重要度」が高まりリピートしやすくなるでしょう。新規数を見ないと一概に判断してはいけません。また、これも①と同じように1ヶ月では判断しがたい為、3カ月、6カ月と見ていく必要があります。入ることのできる新規数に差が生まれることにも理由があります。「出勤日数は同じか」「勤務時間は同じか」「入れる施術に差はあるか」といった項目の確認が必要です。条件が同じ場合は、「稼働率・予約率」を見ます。単純に稼働率や予約率が低い方が空いている予約枠が増える為新規の患者様に入れる確率が上がります。究極をいうと予約が埋まっていて稼働が高い治療師ほど新規に入ることが困難になります。

③再初診数の数

再初診数が20名いるスタッフと0名のスタッフでは離反率が大きく異なります。再初診は集客コストが新規の患者様よりも低い為、大切にしなければなりませんし、また来てくれる患者様の存在は有難く、患者様満足度が高い証拠といえるでしょう。再初診が多いスタッフは治療レベルも高い可能性があります。優先順位としては既存の患者様>再初診の患者様>新規の患者様となります。この式を重要視しない限り新規集客に目を向けてもカルテは増えませんし、新規集客にコストをかけ続ける負のスパイラルとなります。

 

 

3つのポイントと離反原因

1ヶ月よりも3カ月、3カ月よりも6カ月、6カ月よりも12カ月とデータとしての数値の信頼度は高まることは容易ですが、これだけでスタッフの評価と新規集客の数を決めるにはまだ早いといえます。離反率は離反数と大きく関係しますが、「なぜ離反したのか」が重要になります。その為、離反率ではなく離反数を計測することが重要になりますが、計測の際に注意したいことがあります。それは、「離反原因」を把握しているかです。月末にカルテの整理をしているとき、「この患者様は良くなって卒業された」「この患者様は引っ越しを機に来れなくなってしまった」「この患者様はほかの担当者へ変更になった」「この患者様は病院へ転院した」「この患者様は痛みが取れないまま来なくなってしまった」「この患者様は次回予約を取られなかった」「この患者様はキャンセルしてから連絡がない」「この患者様はなぜ来なくなってしまったのだろう・・・」と、離反する原因は沢山あります。ここで注意したいことが、「なぜ来ていないかわからない」という状態。この離反が1番いけません。わからないということは、この患者様のことを治療師も忘れてしまう可能性が最も高くなります。離反理由がわかると対策をとることが出来ます。「来院指導をしっかり伝えよう」「もし、また痛みが出たら来てくれるように伝えよう」「治療の質を上げよう」「症状説明を練習しよう」と対策をとることで治療師としてのレベルが上がり結果的にカルテ枚数が増え続けます。原因が分からないことには対策が取れず、PDCAサイクルは回りませんし、努力する方向が間違っているかもしれません。離反率だけでなく、離反数と「離反原因」が必要なことが分かります。

 

離反とリピートの関係

リピート率が高まると、予約が埋まりやすくなります。また、予約制でなくとも「稼働率」が上がります。つまり、結果的にカルテ枚数が増え売上も上がりやすくなります。すると新規集客にかける予算ができ、また、新規集客に沢山コストをかける必要がなくなります。リピート率の計測も注意が必要です。それは「2回目リピート率」と「8回目リピート率」です。当然ですが2回目リピート率が低くては8回目リピート率が高くなることはありません。まず2回目リピート率を何%を目指すかが重要となります。2回目リピート率は100%に近ければ近いほど良いことは言うまでもありません。8回目リピート率は、永久患者になりやすいといわれ、8回来て頂くことでリピート患者様が「リピーター患者様」になります。順番としては、①新規患者様(初回)②リピート患者様(2回目顧客)③リピーター患者様(顧客)→④永久患者様(優良顧客)となります。この順番は絶対に通る順番であり近道はありません。8回目リピート率を何%を目指すかを院全体で決める必要があるでしょう。

 

施術時間との関係

新規集客の求める月の人数と、離脱率や離反数についてお話しましたが、「施術時間」も大きなかかわりがある為考慮して考えましょう。営業時間が8時間で、1人にかける時間が60分の場合は1日最大8名の患者様を診ることになります。22日の営業日数の場合、8名×22日で最大値は176名。1人の患者様が月に2回来られる通院頻度2.0として考えた場合、カルテ枚数は176÷2.0で最大88枚となります。88人の患者様を診ることが最大値になるので、新規集客に大成功したとしても新患を診る時間がなくなってしまいます。つまり、1人に対する施術時間と営業日数が分かると、「1ヶ月の最大予約枠」・「通院頻度(月に何回来ていただく指導をしているか)」で、カルテ枚数の最大値が決定します。最大値以上の集客は必要ありませんので集客コストをかける必要性が下がります。更に、口コミのみで集客に成功している院は宣伝広告を出す必要がありません。このサイクルが理想となります。

・1日の営業時間は8時間

・予約枠は1時間で3人まで

・営業日数は22日

・通院頻度は3.0

とすると、8時間×3人×22日で予約枠は最大528枠。通院頻度が3.0とすると528枠÷3.0で176枚のカルテが最大値となります。176枚のカルテを保有していて月に平均3.0回来院してくださると528枠の予約がすべて埋まる計算ですので稼働率は100%となります。実際には予約率100%は少し非現実的ですので、勤務時間中に治療以外の業務をしたとして稼働率が70%の場合は176×0.7で123枚のカルテを保有している計算になります。60%稼働の場合は105.6枚となりますので、1ヶ月に新規を取ることのできる人数が想像しやすくなります。あくまでも目安であり、計算上のお話です。実際には毎月来院頻度は微減増しますが、新規を獲得するための目安として役立てられるでしょう。

 

最後に
整骨院の「新規集客」「離脱率」「離反数」「リピート率」は、どれも重要でありすべて関係性があります。整骨院を新規開業したことがある方は、カルテ1枚の重要性を実感しているはずです。カルテ枚数が増えるには近道や裏技はありません。1人ひとりの患者様と向かい合って真摯な対応をすることで信頼が生まれ、結果的にカルテは増えていきます。自身の家族を施術するように、1人ひとりと向き合ってカルテが増えるようになると素敵な整骨院になることでしょう。もちろん、そのために必要な「技術力」「ホスピタリティ」「空間満足度」は欠かせません。治療技術が高く、接遇や対応も良く、院内環境も良くなければなりませんので「数値」で見るものと「数値で見れないもの」の両方を大切にしましょう。

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